根来寺遺跡(第2次)発掘調査(岩出市)
根来寺遺跡内の西北端に近い洞尾川左岸の地区(3区)と南側の丘陵中腹部の地区(4・5区)の調査を行いました。このうち3区では近世の水田区画に伴う石垣、中世の石組み溝や水田区画の石垣を検出しました。遺物は、近世の陶磁器片のほか中世に帰属する土師器皿、備前焼すり鉢、中国製の天目茶碗、白磁皿などが出土しています。
調査地遠景 | 近世の石垣(3区) |
小松原Ⅱ(こまつばらに)遺跡発掘調査(御坊市)
御坊市にある湯川中学校の改築に伴い、建設予定地に計15箇所のトレンチとグリッドを設定し、確認調査を行いました。調査の結果、弥生時代中期の土坑や柱穴、古代と考えられる土坑、中世の区画溝・土坑などを検出しました。また、南側には湯川氏館(中世)の庭園を構成する池が存在し、東端には館の東堀の存在が予想でき、対象地が全国屈指の規模をもつ方形居館の南東部に相当すると判断できます。
遺構検出状況 |
片山遺跡発掘調査(日高郡みなべ町)
調査は、平成27年度に開催される紀の国わかやま国体で使用するクライミングウォール新築工事に伴い実施しました。遺物は遺構出土以外のものを含め突帯文(とったいもん)土器、弥生土器、土師器、近世陶磁器などが出土しています。出土した突帯文土器、弥生土器は、原位置を離れているものの、既往の調査事例から土壙墓の供献(きょうけん)土器であった可能性が考えられます。
調査区全景 | 突帯文土器 |
立野(たちの)遺跡発掘調査(すさみ町)
近畿自動車道インターチェンジの建設に伴い、発掘調査を実施しました。弥生時代前期から古代(平安時代頃)にかけての流路を検出しており、古代の流路跡からは、木製品の一部が出土しています。
調査区全景 | 木製品出土状況 |
和田遺跡発掘調査(和歌山市)
平成24年10月より調査を開始し、古墳時代の土坑や柱穴、溝状遺構が見られ、中世の木枠を施した井戸などが見つかっています。遺物は弥生時代から古墳時代の土器が多く出土しています。
遺構掘削作業 |
古墳時代の土坑 |
田屋遺跡発掘調査(和歌山市)
平成24年11月に発掘調査を行いました。調査の結果、平安時代の終わりから鎌倉時代にかけての溝や柱列など多数の遺構を確認しました。また調査区の一部では、弥生時代後期の自然流路が検出されています。
調査区中央全景 | 鎌倉時代の溝 |
平井Ⅱ遺跡第2次発掘調査(和歌山市)
平成25年の1月から2月にかけて第2次発掘調査を行いました。古墳時代の土坑や中世以降の水田耕作に伴う素掘りの溝が数多く見つかっています。遺物は、古墳時代の初期須恵器や埴輪(はにわ)のほか、弥生時代の石包丁(いしぼうちょう)の破片も出土しています。
調査地全景 | 古墳時代の土坑 |
大古Ⅱ遺跡(白浜町)
平成23年・24年度にそれぞれ調査を行いました。本年度の調査では、昨年度と同様に、古代(奈良時代)と考えられる溝や掘立柱建物跡、弥生時代の土坑群など多くの遺構が確認されました。
古代と弥生時代の溝 | 弥生時代中期の土器出土状況 |
田ノ口(たのくち)遺跡(白浜町)
調査では平安時代の溝や、土師器(はじき)など100点以上が出土した祭祀(さいし)に関係すると考えられる土坑などが検出されました。溝からは棹秤(さおばかり)のおもり(権(けん))とみられる石製品(高さ8.4㎝、重さ756g)が出土しました。
祭祀土坑 | 権状石(けんじょうせき)製品出土状況 |
史跡根来寺境内及び名勝根来寺庭園発掘調査(岩出市)
防災施設の設置に伴って根来寺伽藍(がらん)内を中心に34個のトレンチ(1.2×2.0m)を設定し調査しました。この結果、中世の石垣や鋳造(ちゅうぞう)をおこなっていた痕跡などの遺構が検出されました。
室町時代後半の石垣(4トレンチ) | 室町時代後半の土坑検出状況(17トレンチ) |
平井Ⅱ遺跡(和歌山市)
今年6月から開始した発掘調査で、古墳時代の竪穴(たてあな)遺構(いこう)や中世の柱穴などが見つかっています。遺物には、古墳時代の初期(しょき)須恵器(すえき)(5世紀前半)や埴輪(はにわ)(6世紀前半)、完全な形で出土した瓦器(がき)椀(わん)(12世紀中頃)などがあります。
調査区の航空写真 | 竪穴遺構 |
六十谷(むそた)遺跡第3次発掘調査(和歌山市)
平成22年度から調査を開始し、本年度第2次・3次調査を行いました。調査の結果、弥生時代中期の溝状遺構や土坑などが確認されました。遺跡からは多くの弥生土器が出土し、溝状遺構より弥生時代の高杯(たかつき)が出土しています。
調査区の全景 | 弥生時代の土器出土状況 |
出土遺物等整理事業
井辺(いんべ)遺跡出土遺物等整理業務(和歌山市)
平成23年度に実施した発掘調査により出土した遺物等の整理作業を行いました。遺構は竪穴建物や掘立柱建物、溝や土坑などが検出されています。出土遺物は弥生時代後期~古墳時代前期を中心とする甕や壺などが出土しています。
土器の接合・補強作業 | 銅鏃 |
和田Ⅱ遺跡出土遺物等整理業務(日高郡美浜町)
平成23年度に実施した発掘調査により出土した遺物等の整理作業を行いました。標高の高い南側の調査区では古代の遺物が多く、標高の低い北側では中世の遺物が多い傾向がみられ、土師器、須恵器、緑釉陶器、黒色土器、銭貨などが出土しています。
遺物の復原作業 | 古墳時代のハソウ |
立野(たちの)遺跡出土遺物等整理業務(すさみ町)
平成22年度の発掘調査で確認された弥生時代前期の流路から出土した多量の木器・石器・土器を中心に、整理作業を行いました。これまで不明であった弥生時代前期の木器生産体制を考える鍵として、全国の研究者から注目を集めています。
鍬(くわ)先の製作工程資料 |
神前(こうざき)遺跡出土遺物等整理業務(和歌山市)
平成22年度から平成23年度にかけて調査を行いました。本年度から2箇年にわたり、出土したコンテナ約340箱の遺物整理作業を行っています。弥生時代前期~中期前葉の灌漑(かんがい)用水路とみられる溝が多数検出されており、土器の整理を通してその年代把握作業を進めています。
土器の注記作業 |
井辺(いんべ)遺跡及び神前(こうざき)遺跡の出土遺物等整理業務(和歌山市)
平成22年度から平成23年度にかけて調査を行いました。本年度から2箇年にわたり、出土遺物等の整理業務を実施しています。出土遺物には、弥生時代後期後半~古墳時代前期の大量の土器と共に多くの木器・木製品があります。
土器の補強作業 | 木製品の実測作業 |