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重要文化財 福勝寺保存修理工事の設計監理

 福勝寺は旧熊野街道が藤白峠を越えて加茂谷へと南下する峠道から東に入った山中にあり、弘法大師の開基と伝えられています。加茂谷を見下ろす境内地の西には滝があり、古くから修験の行場であったと伝えられます。滝の東に建つ本堂、求聞持堂が重要文化財、鐘楼が附指定になっています。

 本堂は寄棟造りの真言宗として標準的な三間堂で、建物の様式や堂内に残される永正12年(1514)と記された参詣者による墨書などから15世紀後期の建立と考えられます。
求聞持堂は紀州初代藩主徳川頼宣が慶安3年(1650)が建立した建物で、本堂と接続して建てられています。密教修法である虚空蔵求聞持法を行うための施設として近世初頭に遡る貴重な建物であり、鐘楼も同時期の建物と考えられます。

 福勝寺では平成17年1月から平成20年3月にかけて解体(求聞持堂は半解体)修理が行われました。修理工事に伴い本堂天井板裏面から永禄13年(1570)に大規模な改修を行ったことを示す墨書が発見され、大正時代には増築により求聞持堂の屋根の形が変えられたなど各建物の沿革が明らかとなりました。現状変更の手続きを経た上で、調査の成果を反映し求聞持堂が建てられた江戸時代初期の姿に復原しました。

本堂竣工

求聞持堂竣工


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